国家試験の受験には、学歴や実務経験が必須な資格もありますよね。
キャリアコンサルタントの受験資については、学歴は関係なく未経験でも受験する方法があります。
「じゃあキャリアコンサルタント試験には、どんな受験資格があるの？」という方。この記事を読むと次のことが分かります。
それでは、キャリアコンサルタントの受験資格について、詳しい内容を見ていきましょう。
学歴や経験に関係なく取得できる
キャリアコンサルタント試験の受験資格には、学歴に関する要件はありません。大卒であることが受験資格のひとつ、ということは無い試験です。
また、未経験でもキャリアコンサルタントを目指すことができます。前職や現職でキャリアコンサルティングに関連のない職業の方も、目指すことができます。
しかし、誰でも受験できる試験ではなく、要件を満たした方だけが受験することが出来ます。どのような受験資格があるのか見ていきましょう。
キャリアコンサルタント試験３つの受験資格
キャリアコンサルタント試験を受けるためには、次の3つの受験資格があります。
①厚生労働大臣の認定講習を修了する
②3年以上の実務経験がある
③技能検定の学科か面接に合格している
いづれか１つを満たすことで、キャリアコンサルタント試験を受けることが出来ます。
まずは、未経験の方がキャリアコンサルタント試験を受けるための、受験資格について見ていきましょう。
厚生労働大臣の認定講習を修了する
実務経験がない方は、「厚生労働大臣が認定する講習」を修了することで、受験資格を得ることができます。
「厚生労働大臣が認定する講習」は、通称「キャリアコンサルタント養成講座（又は養成講習）」と呼ばれています。
キャリアコンサルタント養成講座を受講して、必要な知識と技能を学んで講習を修了することで、試験を受けることが可能になります。
養成講座はご自身に合った講習を選ぶことができるので、養成講座の詳しい内容については別章でご説明しますね。
3年以上の実務経験がある
一定の条件を満たした実務経験が３年以上ある方は、キャリアコンサルタント試験の受験資格を得られます。
具体的には、下記を全て満たしているキャリアコンサルティング相談を３年以上していることが必要です。
・キャリアコンサルティングによる支援対象者が、「労働者」であること。
※労働者とは、現在就業している方だけでなく、現在仕事を探している求職者を含む。
・相談の内容や目的が職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上に関するものである。
・キャリアコンサルティングが一対一で行われるもの、又はこれに準ずるもの（少人数（概ね6名以内）グループワークの運営等）
※情報提供に止まるもの、授業・訓練の運営そのもの等は含まない。
参照：厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ
技能検定の学科か面接に合格している
「キャリアコンサルティング技能検定」の学科試験又は実技試験に合格した場合、受験資格を得られます。
キャリアコンサルティング技能検定とは
キャリアコンサルタント国家資格の上位資格に位置づけされている検定です。
キャリアコンサルティング技能検定は１級と２級があり、キャリアコンサルティング技能士2級は「熟練レベル」、技能士1級は「指導レベル」と位置づけされています。
キャリアコンサルティング技能検定は、キャリアコンサルタント国家試験よりも難易度が高い試験です。
技能検定の受験にもいくつか要件があるため、未経験の方がキャリアコンサルタント試験より先に臨むのはハードルが高い試験だと言えます。
未経験からキャリアコンサルタントになる方法
未経験からキャリアコンサルタントを目指す方法としては、養成講座の修了か実務経験を積むかの２つの選択肢があります。
キャリアコンサルタントとは？
改めて「キャリアコンサルタント」とは何かというと、キャリアコンサルティングの専門家である国家資格者のことを指します。
キャリアコンサルタント国家資格は、名称独占資格に該当します。
名称独占資格とは
有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格のこと。
キャリアコンサルタント国家資格を持っている方だけが、「キャリアコンサルタント」と名乗ることができるのです。
ただし、業務独占資格ではないので資格を持っていない方でも、求職者や転職者のキャリア相談に乗ることは可能です。
業務独占資格とは
特定の資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務。看護師や弁護士などが該当。
無資格でもキャリア相談に乗ることはできますが、資格を持っていることで客観的にスキルと知識を証明することが出来ます。
では、未経験からキャリアコンサルタント国家資格を取る方法を見ていきましょう。
養成講座を受講する
未経験からキャリアコンサルタントになる最短の方法は、養成講座を修了することです。養成講習ではキャリアコンサルティングを行うために必要な知識や技能ついて学ぶことができます。
実務経験者でも体系的な学習のために、養成講座を受講される方もいます。養成講座受講からキャリアコンサルタント資格を得るまでは、次のような流れです。
①受験資格を得る
キャリアコンサルタント養成講座に申込み、講座を修了する。
②キャリアコンサルタント試験に申込する
試験の約3カ月前に受験申請を行う。試験に向けて勉強する。
③試験を受ける
学科試験と実技試験（論述＋面接試験）を受験する。
④学科と実技の両試験に合格
試験の約1か月後に合格発表。どちらかが不合格だった場合は、次回に不合格だった科目を受験する。
⑤キャリアコンサルタント名簿に登録 キャリアコンサルタント名簿に登録することで、キャリアコンサルタントと名乗れるようになる。
試験に合格したあと、キャリアコンサルタント名簿への登録が完了して、はじめてキャリアコンサルタントと名乗ることができます。
3年以上の実務経験を積む
要件を満たした実務経験を3年以上積んでから、キャリアコンサルタント試験を受けるのも受験資格を得る方法の一つです。
養成講座の受講と比較すると時間がかかりますが、転職エージェントやハローワークの職員等で、3年以上の経験を積むというのも選択肢の一つです。
ハローワークに所属していたとしても、要件に合っていない場合実務経験とはみなされない場合があります。
要件に該当する実務経験かどうかは、事前に各試験実施機関のホームページを確認しておくと安心ですね。
キャリアコンサルタント養成講習とは
キャリアコンサルティング養成講座を修了することが、受験資格を得る方法の一つでしたね。
キャリアコンサルティング養成講座は厚生労働大臣が認定した150時間の講習のことで、養成講座を行う団体は現在23団体あります。
養成講座ではどのようなことを学ぶのか、また養成講座の選び方について見ていきましょう。
養成講座の内容
養成講座のカリキュラムの総合時間は150時間です。
カリキュラムはキャリアコンサルタントに必要な知識を学ぶ「講義」と、技能を習得するための「演習」で構成されています。
| キ ャ リ アコン サ ル テ ィ ン グの 社会的意義 | ・社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性 の理解 ・キャリアコンサルティングの役割の理解 |
| キャリアコンサルティングを行うために必要な知識 | ・ キャリアに関する理論・カウンセリングに関する理論 ・職業能力の開発の知識・ 企業におけるキャリア形成支援の知識 ・労働市場の知識 ・労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識・学校教育制度及びキャリア教育の知識 ・ メンタルヘルスの知識 ・ 中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の 知識 ・人生の転機の知識 ・一 個人の多様な特性の知識 |
| キャリアコンサルティングを行うために必要な技能 | 基本的な技能 １ カウンセリングの技能 ２ グループアプローチの技能 ３ キャリアシートの作成指導及び活用の技能 ４ 相談過程全体の進行の管理に関する技能 相談過程において必要な技能 １ 相談場面の設定 ２ 自己理解の支援 ３ 仕事の理解の支援 ４ 自己啓発の支援 ５ 意思決定の支援 ６ 方策の実行の支援 ７ 新たな仕事への適応の支援 ８ 相談過程の総括 |
| キャリアコンサルタントの倫理と行動 | ・キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する 教育並びに普及活動 ・ 環境への働きかけの認識及び実践 ・ ネットワークの認識及び実践 ・ネットワークの重要性の認識及び形成 ・専門機関への紹介及び専門家への照会 ・自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導 を受ける必要性の認識・キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢 |
| その他キャリアコンサルティングに関する科目 | その他キャリアコンサルティングに関する科目 |
参考：厚生労働省
キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
養成講座ではキャリアコンサルティングを行うために必要な技能やカウンセリング理論だけでなく、労働法規や企業におけるキャリア支援、リカレント教育について等、様々な内容を学びます。
受講期間は3ヶ月から6ヶ月
養成講座の受講期間はスクールによって様々ですが、3カ月～6か月の期間が多く見受けられます。
毎週土日のどちらかに1日受講するスタイルの講習、隔週の講習、平日昼または夜に受講できる講習などがあります。
どのくらいの期間で資格を得たいのかを明確にして、忙しい中で資格を目指す場合は無理のないスケジュールを組むことが大切ですね。
例えば、短期で受講したい場合は休みの土曜毎週1日受講する、毎週は難しいから隔週で時間をかけて受講するなど、ご自身の生活スタイルに合わせて選ぶことができます。
通学とオンラインの受講方法がある
キャリアコンサルタント養成講座の受講方法は、オンラインと通学の2種類があります。
オンラインは自宅で講座が受講できるため、移動時間がかからず落ち着いた空間で講義を受けられます。
通学では集中した空間で講義を聞き、受講生同志でリアルな面談練習をすることが可能です。
私はオンラインで受講しました。メリットは休憩時間に家事ができて、体調に波のある方なので体調がそこまで良くなくても家なので受講できたことです。
また、今後の仕事ではオンラインでの顧客対応を想定していたので、オンラインでの面談練習ができたことが良かったと感じています。
デメリットだと感じた点は、試験は対面で面接を行いますが、オンライン講座では対面での面接練習が出来なかった点です。
以前の仕事で対面での面談を経験していたため大きな問題ではなかったですが、試験慣れしていないため当日はとても緊張しました。
養成講習修了者の割合と合格率
キャリアコンサルタント試験の結果については、養成講座の修了生と実務経験のみで受験した方の両方の合格率が発表されています。
それぞれの学科試験と実技試験の合格率は次の通りです。
最新29回の試験では、学科実技ともに実務経験のみでの受験生の方が、養成講座の受講生より合格率が低い結果でした。
学科実技ともに6割は超えていますが、特に学科が養成講座修了者と比べて低く、独学での受験は難易度が少しあがることが分かります。
資格取得にかかる費用の抑え方
養成講座はスクールによって値段が異なりますが、約30万円～45万円位が目安です。キャリアコンサルタント資格を取得したいけど、養成講座の受講料の負担が大きく感じる方も多いのではないでしょうか。
費用負担を減らすための方法として、「専門実践教育訓練給付」という国の雇用保険の制度を活用する方法があります。
制度を活用することで、学費の最大80%が支給されます。一例として、33万円の講座を受講して80％支給された場合は、次のような自己負担額となります。
「専門実践教育訓練給付制度」とは？
・国の雇用保険の制度の一つです。
・厚生労働大臣の指定した講座を受講した場合に、訓練費用の一定割合がハローワークから支給されます。
・一定の条件を満たす必要があるため、該当するかどうかは必ず事前に確認しましょう。
参考 ハローワークHP
養成講座の多くは専門実践教育訓練給付制度の対象となりますが、一部対象外のスクールもあります。
制度を利用することで資格にかかる費用負担が少なくなりますね。
注意点としては次の２点を事前に確認しておきましょう。
①ご自身が条件に該当するかどうかをハローワークで確認
②養成講座が専門実践教育訓練給付制度に該当している講座かどうか申込前に確認
受験資格証明に必要なもの
キャリアコンサルタント試験の受験申請には、受験資格を証明する書類の提出が必要です。
認定講習を修了した場合は、講習修了時に「修了証明書」という書類が発行されるので、写しを提出します。
申請期間は試験日の約2～3ヶ月前なので、期間内に忘れずに申請しましょう。
キャリアコンサルタント試験の難易度
キャリアコンサルタント試験の合格率は概ね45％～60％を推移していおり、国家資格の中では比較的難易度が低いと言えます。
過去5年の平均合格率52％と半数以上が合格していることから、未経験でも目指しやすい資格です。
最新の合格率
第29回最新の学科・実技の同時合格率は55.7％、学科合格率は72.7％、実技合格率は64.3％でした。
キャリアコンサルタント試験は科目ごとに合否が決まるので、不合格だった場合は次回その科目のみ受験することが可能です。
また、試験が年に3回実施されることが多いので、トライしやすい資格ですね。
学科試験と実技試験の内容
キャリアコンサルタント試験は学科と実技の2科目あり、実技試験は面接と論述の2つで構成されています。
学科試験の範囲はカウンセリングやキャリア理論だけではなく、労働関係法令や学校教育制度、メンタルヘルスや社会経済の動向など幅広く出題されます。
忙しい中で試験を受ける方も多いため、計画的に学習を進める必要があります。試験の内容については、こちらの記事もご参照くださいね。
いつから準備をはじめればいい？
キャリアコンサルタントの資格取得にかかる時間は、目安として10ヶ月～12か月です。そこから逆算して準備ができるといいですね。
例えば第32回試験に向けて3カ月の養成講習を受けた場合のスケジュールは下記の流れです。
養成講習の受講期間が3カ月～6か月、講習の修了日から最短の国家試験日まで、約3カ月の期間があります。
また、試験合格後に登録申請を行ってから登録証が発行されるまで、目安として2か月間必要です。
思ったより期間が必要だと感じた方も多いのではないでしょうか。
試験を検討中の方は、早めの段階で養成講座探しができると安心ですね。
キャリアコンサルタント受験資格まとめ
キャリアコンサルタント試験の受験資格について、まとめを見ていきましょう。
キャリアコンサルタント試験の受験資格
①厚生労働大臣の認定講習を修了する②3年以上の実務経験がある③技能検定の学科か面接に合格している
３つのいづれかを満たすことで、試験を受けることができる。
未経験者がキャリアコンサルタントになる最短の方法
キャリアコンサルタント養成講座を修了する方法が最短ルート。登録完了してキャリアコンサルタントと名乗れるまでにかかる期間の目安は10ヶ月から12か月。
キャリアコンサルタントの試験を受けるには学歴要件はなく、未経験でも養成講座を修了することで受験ができます。
キャリアコンサルタントになるには一定の期間がかかるため、取得したい時期から逆算して養成講座選びができると安心ですね。