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キャリアコンサルタント試験の難易度は?合格基準や勉強時間も紹介

専門家として相談者のサポートができる「キャリアコンサルタント」について、資格取得の難易度を知りたい方。

キャリアコンサルタントの合格率は概ね45%~60%程度を推移しており、国家資格の中でも難易度は決して高くありません。この記事を読むと、次のような疑問が解決します。

記事を読んで分かること

・キャリアコンサルタント試験の合格率は?
・どんな試験なの?
・試験科目ごとの合格ラインは?
・受験資格と試験内容は?
・試験対策にはどのくらいの時間が必要?

それでは、キャリアコンサルタント資格の合格率と難易度、試験内容と勉強時間等について見ていきましょう。

合格率5割以上!国家資格の中で難易度は低い

キャリアコンサルタント試験の合格率は、概ね45%~60%を推移しています。過去約5年の平均合格率は52%、試験が開始した2016年からの平均で見ても合格率約50%です。他の国家資格の合格率と見比べてみましょう。

同じ国家資格である社会保険労務士の合格率は10%以下です。他国家資格と比較してみても、キャリアコンサルタントは合格率が高く、比較的難易度は低い資格だと言えるでしょう。

キャリアコンサルタント試験の合格率推移

キャリアコンサルタント試験は、学科と実技の2科目があり同時受験が可能です。

1科目だけ合格した場合には、次回の試験で不合格の科目のみ受験ができます。実際の合格率推移を見ていきましょう。

合格率の推移

学科・実技同時受験者の第1回から最新第29回試験の、学科・実技同時受験の合格率推移はこちらです。

キャリアコンサルタントが国家資格となったのは2016年からで、最初の第1回試験から第9回までは合格率に大きな高低差が見られました。

その後は合格率の差に落ち着きが見えて、学科・実技同時受験の合格率も概ね45%~60%を推移しています。

最新第29回の合格率

第29回最新の学科・実技の同時合格率は55.7%、学科合格率は72.7%、実技合格率は64.3%でした。


第29回は比較的合格率が高い結果となりました。過去には合格率が50%を下回る試験もあったため、難易度が高い試験に当たった場合のためにも対策は必要ですね。

試験内容と合格基準

ここからはキャリアコンサルタントの試験内容と、科目ごとの合格基準と難易度について見ていきましょう。

キャリアコンサルタント試験概要

キャリアコンサルタント試験は学科と実技の2科目あり、実技試験は面接と論述の2つで構成されています。

学科試験の合格基準

学科試験は四肢択一のマークシート方式です。配点は1問につき2点で、100点満点中70点以上の得点で合格です。

時間は100分間で問題数は50問、35問以上の正答で合格なので、時間内に解き終わるように過去問の演習が必須ですね。

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キャリアコンサルタント試験を行っている団体は2つあります。学科はどちらの試験団体も同じ問題及び配点です。試験団体については別章でご説明しますね。

学科試験の難易度

学科の平均合格率は約64%です。対策をすれば国家資格の中では難易度が高い試験ではないことが分かります。

試験回によっては大きく合格率が下がった試験回もあります。学科試験の合格推移はこちらです。

合格推移を見ると、キャリアコンサルタントが国家資格になった2016年からの約3年間は、合格率20%台から70%後半までの高低差があったことが分かります。

出題範囲の改定がされた15回から最新29回まで合格率を見ていくと、全ての試験で学科合格率は50%を上回っているため、最近では合格率が落ち着いてきたことが見受けられます。

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合格率は高いですが、150時間の養成講座を受けた方が約9割を占める中で合格率5割以上という結果です。また、学科試験は範囲も広いため計画的に学習しいていく必要があります。

実技試験の合格基準

実技試験は論述試験と面接試験の2科目から構成されています。面接試験は受験者がキャリアコンサルタント役になり、相談者役とキャリアコンサルティングを行います。

論述試験は、事例記録又は逐語記録をというキャリアコンサルティングの記録を読み、相談者をどのように支援するのかといった内容に、記述式で解答する試験です。

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実技試験では150点満点中90点以上の得点が合格ラインです。ただし論述と面接の合計で基準を超えていても、どちらか一方が合格ラインを下回ると合格に達しません。

論述試験で満点の40%、面接試験の各評価区分で満点の40%とそれぞれの科目での合格ラインを超える必要があるため、各評価項目をクリアできるような勉強が必要ですね。

実技試験の難易度

実技試験の平均合格率は65%です。学科は合格率が20%台だった試験回もありますが、実技はどの試験回でも今まで合格率が大幅に低い結果はでていません。

学科とは異なり実技は第一回から合格率の高低差があまりなく、50%以上の安定した合格率で推移しています。

合格率から考えて、実技試験も難易度はそこまで高くありません。しかし、実技試験は合計得点が満点の60%を獲得していても、各科目で基準を超えないと合格にならないので注意しておきましょう。

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各評価項目で足切りが設けられているため、全ての評価項目のスキルを伸ばすための対策が必要ですね。

実技試験は試験団体によって評価軸が異なります。次章で2つの試験団体について見ていきましょう。

2つの試験団体の違い

国家資格キャリアコンサルタント試験は2つの団体(登録試験機関)が実施しています。

・キャリアコンサルティング協議会(CCC)
・日本キャリア開発協会(JCDA)

どちらかが実施する試験に合格して登録することで、キャリアコンサルタントになることが出来ます。

学科試験は同じ内容で出題されますが、実技試験は試験団体ごとに内容や評価軸が異なっています。

論述試験の内容の違い

キャリアコンサルティング協議会は事例記録、日本キャリア開発協会は逐語記録の出題方式です。

形式に違いはありますが、相談記録を読み設問に解答するということに変わりはありません。

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どちらの問題も解きましたが、同じ難易度のものが出題形式が違って問われているという感じです。

形式に慣れるためにも、試験団体を決めたら過去問を解いて時間内に記述できるよう練習が必要ですね。

面接試験の違い

面接試験はどちらの団体も共通してロールプレイと口頭試問の2つの構成です。

評価軸に違いがあり、キャリアコンサルティング協議会の評価区分は「態度」「展開」「自己評価」、日本キャリア開発協会の評価区分は「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」です。

各試験団体によって実技試験の内容が異なるため、過去問に合わせた練習が必要になります。養成講座の多くはどちらの団体の試験形式にも対応しています。

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一部の養成講座ではどちらかの団体に特化している場合もあるため、試験団体の希望がない場合は養成講座によって受験する団体を決めるのも方法の一つですね。

キャリアコンサルタントの受験資格

キャリアコンサルタント試験は、受験資格の要件を満たせば誰でも受験することが可能です。

受験資格
・厚生労働大臣が認定する講習の課程(養成講座)を修了している方
・労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験がある方
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した方
~出典 厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ

実務が未経験の方は養成講習を修了することでキャリアコンサルタント試験を受けることが出来ます。

実務経験によって独学で受験可能

実務経験が3年以上ある場合は、養成講座に通わなくても受験資格が得られるため、独学で目指すことが可能です。

勉強の目安として、養成講習は約150時間の受講時間があるため、市販のテキストを利用して独学での対策を行います。

合格率の違い

年度によっても異なりますが、養成講座を修了した方と独学受験の方では合格率が異なります。

合格率を上げるためには、養成講座の受講が手段の一つですね。
ただ、費用を抑えたい場合には独学受験や試験対策のみの受講なども可能です。

キャリアコンサルタント合格までの勉強時間

キャリアコンサルタント資格取得のための勉強時間は、養成講座での学習が約150時間、自主学習が約100時間~200時間程度と言われています。

養成講習の修了から試験日まで、最短の試験を受験する場合は3ヶ月程度の期間があるため、その期間に自主学習を進めます。

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1日1時間~2時間の学習だと、3ヶ月程で到達できる時間です。働きながら受験する方が多いため、お仕事の繁忙期と重ならないよう調整できると良いですね。

学科試験の学習

学科試験に必要な時間は100時間以上と言われています。

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私は約200時間、学科の勉強をして試験を受けました。養成講座の受講中は仕事と講座の受講、講座の課題提出で手一杯だったので、講座修了後の約3カ月の間に自主勉強を進めていきました。

試験団体のサイトでは、3回分の過去問題が公開れています。過去問題を解いて、まずは出題傾向とご自身の苦手分野を把握することをお勧めします。

キャリアコンサルタント試験は出題範囲が広く、社会経済の動向等は年度によっても異なります。人事の仕事をしてたから労務分野は得意だけと理論は苦手、などバックボーンによって得点できる分野も違ってきます。

スクールによっては模試や直前対策を実施しているので、得点に不安がある場合には利用するといいかもしれません。

実技試験の学習

実技試験は論述と面接の2つの対策を行います。受験する団体を早い段階で決めておくと、試験対策がより行いやすくなります。

論述試験の学習

キャリアコンサルティング協議会は事例記録、日本キャリア開発協会は逐語記録の出題方式です。50分という限られた時間で、記録の内容を理解して記述式で解答します。

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相談者は若年層から定年後の方まで幅広く、相談内容はキャリアへの不安から介護との両立まで様々です。
タイムマネジメントも重要なので、解答のポイントを理解した後は多くの演習問題に取り組みます。

50分で演習を解く→解説を読んで理解する時間を40分取る=90分
90 分×模擬問題を15問分行う=1350分

上記のような学習の場合、必要な論述試験対策の時間は22時間30分です。

面接試験の学習

面接試験のロールプレイは、面談開始から最初の15分という設定で行われます。口頭試問では5分間、ロールプレイで行ったコンサルティングの良かった点や改善点等の試験官の質問に答えます。

相談者は論述同様に、年代や職業等どのような相談者役なのか、又相談の内容についても当日試験が開始されるまで分かりません。養成講座の中でロールプレイを行う時間は沢山設けられており、様々な人物設定や相談内容でロールプレイを行いいます。

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ロールプレイは養成講座の中で行われますが、実際やってみると面接は苦手で不安があるという方もいらっしゃいます。その場合には、別途面接対策講座などを受講するのも一つの方法です。

自主学習としてロールプレイを行う場合、一例として次のような時間が必要になります。

・ロールプレイ15分、口頭試問5分
・ロールプレイの相手からのフィードバック5分、自身の振返り10分
合計35分

上記の練習を週に1回3カ月練習した場合、面接対策に必要な時間は7時間です。

資格取得にかかる期間

養成講習の受講開始から登録証が届くまで、全体でかかる期間の目安は約10ヶ月~12ヶ月です。

例えば第32回試験に向けて4カ月の養成講習を受けた場合のスケジュールは下記の流れです。

講座受講が約3カ月~6か月、講習修了から最短の国家試験日までが約3カ月、合格発表までが約1か月半、登録にかかる期間が約2か月です。

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キャリアコンサルタントと名乗るには、試験に合格したあとキャリアコンサルタント名簿への登録が必要です。登録には約2か月時間がかかるので、資格取得までに合計10ヶ月~12ヶ月必要ということになります。

養成講座の受講期間

養成講座の受講期間は週1回ペースの場合は3ヶ月~4か月、隔週ペースの場合は5ヶ月~6か月程度が目安です。
キャリアコンサルタントの国家資格試験は最近では年に3回、3月7月11月に行われています。

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仕事の繁忙期やご自身の状況などを考慮して、受験したい月から逆算した講座に申し込むとよいですね。

講習が修了されると受験資格が付与されます。予定していた試験回に受けることが出来なかった場合やどちらかの科目が不合格だった場合は、次回以降の試験を受けることができます。

働きながらでも資格取得は可能

養成講座はスクールによって土日祝、平日の夜または日中とコースを選ぶことができます。
また、講座修了後から試験まで最短でも3カ月程度の期間があるため、自主学習の時間があります。

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実際に私もそうでしたが、多くの方が働きながら受講しています。受講期間と試験までの期間を含めて、約6か月~9カ月の計画を立てて資格取得を目指しましょう。

キャリアコンサルタントになるための費用

キャリアコンサルタントの資格取得に必要な費用は「養成講習の受講費」「試験の受験料」「登録料」の3つです。

特に養成講座の受講料が大きな金額ですが、専門実践教育訓練給付金を利用すると最大80%の受講料が戻ってくるため、負担が少なくなります。

最大8割の受講料が戻ってくる

キャリアコンサルタントの養成講座の多くは、「専門実践教育訓練給付金」の対象です。
条件を満たしていれば、受講料のうち最大80%の給付金を国から受け取ることができます。最大80%の給付金を受け取った場合の自己負担額の一例はこちらです。


20万~40万円と、資格取得にかかる一番大きな出費が養成講座の受講料です。
金銭面での負担を軽くして資格を取得するために、給付金を上手に使って受講することをお勧めします。

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多くのスクールが専門実践教育訓練給付金の対象ですが、一部対象外の養成講座もあります。必ず申込前に確認しましょう。

キャリアコンサルタント資格を取得するメリット

国家資格キャリアコンサルタントを取得することで、下記のようなメリットがあります。

・相談者や依頼者から信頼を得られる
・キャリアカウンセリングのスキルが身につく
・収入UPが見込める

相談者や依頼者から信頼を得られる

キャリアコンサルタントは職業能力開発促進法に定められる国家資格です。

資格を持っていることで、キャリアコンサルティングに関する一定以上の知識・スキルを保有している証になります。

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人に悩みを打ち明けるということは、相談する方にとっても負荷がかかることです。
資格を所有していることで、相手に信頼感や安心感をもってもらえるきっかけになります。

キャリアカウンセリングのスキルが身につく

人事や管理職の方の中には、普段から従業員の相談にのる機会が多い方もいらっしゃいます。
経験は財産ですが、講習を受けることで体系的にカウンセリング等のスキルを学ぶことができます。

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カウンセリング技法の他にも、有名で実用的なキャリア理論を学ぶことが出来ます。

対人支援の経験が無い方は基礎からキャリアカウンセリングを理解することが可能です。実務経験がある方も理論を学ぶことで、より質の高い支援に役立てることが出来るでしょう。

収入UPが見込める

企業で働いている方の場合、キャリアコンサルタント資格を取得すると「資格取得手当」がつく場合があります。

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厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、資格手当を支給している企業の割合は50.8%という結果が報告されています。ご自身の部署で該当するかどうか、事前に調べておくと良いですね。

オンライン相談の需要があるため、副業でキャリアコンサルティングの仕事をすることができます。
副業サイトによっては、キャリア相談や職務経歴書の添削の仕事を行うことで、副収入が見込めます。

キャリアコンサルタント試験の難易度まとめ

キャリアコンサルタント試験の合格率概ね45%~65%を推移しており、国家資格の中では比較的難易度が低い資格。
キャリアコンサルタント試験学科と実技の2科目がある。科目合格の制度があるため、どちらか不合格の場合は次回試験に1科目のみ受験が可能。
第29回最新の合格率学科・実技の同時合格率は55.7%、学科合格率は72.7%、実技合格率は64.3%と比較的合格率が高い結果。
学科試験の合格基準四肢択一のマークシート方式。配点は1問につき2点で、100点満点中70点以上の得点が必要。
実技試験の合格基準150点満点中90点以上の得点が必要。論述試験で満点の40%、面接試験の各評価区分で満点の40%以上の得点が必要。
試験団体の違いキャリアコンサルタント試験は2つの団体(キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会)が実施。

学科試験は同じ内容で出題、実技試験は試験団体ごとに内容や評価軸が異なっているが難易度に違いはない。
勉強時間キャリアコンサルタント資格取得のための勉強時間は、養成講座での学習が約150時間、自主学習が約100時間~200時間程度。

キャリアコンサルタント試験の合格率は概ね50%を超えていることから、国家資格の中でも難しい試験ではありません。

しかし、見方を変えると9割以上の方が150時間以上の養成講座の受講をしたうえでの試験結果であるため、一定の勉強が必要だともいえます。

また、学科試験は社会経済・キャリアに関する理論・労働関係法令・学校教育制度・メンタルヘルスの知識等・キャリアカウンセリングの基本的な技能等、様々な分野から幅広く出題されます。

ご自身の今までのキャリアや学んできたことによりますが、キャリアコンサルタント試験には一定の学習時間が必要です。

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学科・論述・面接の中でご自身の得意と苦手を受講と過去問を通して見つけて、早期からご自身に合った対策が出来ると良いですね。

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